中国の淡水真珠養殖に現在使われる母貝の中国現地の呼称は三角蚌(Sanjiao
Bang)。日本語に直訳すれば三角貝、ただし日本ではヒレイケチョウ貝という名称がつけられている。これは日本の淡水真珠養殖に使われたイケチョウ貝と同じ種類の貝である。現在日本の淡水真珠養殖にもイケチョウ貝と三角貝の交配種や、三角貝そのものが使われていると聞く。三角貝はイケチョウ貝に比べて壮健で育て易く、また紫など特徴的色が出来安い。
日本のあこや真珠養殖にも中国の馬氏貝(日本での通称名:中国あこや)を導入している。淡水、海水とも日本の真珠養殖は日本独自の純血種では養殖が困難になった。中国から三角貝や馬氏貝を不用意に導入すると日本の海や湖沼の生態系にも影響が出るのではないのかという疑問が沸く。もう一つの疑問は、中国政府は生きた三角貝や馬氏貝そのものの商業的輸出を禁止しているはずだが、何らかのルートを経て日本の真珠養殖に使われている。
ごく普通の養殖サイクルは、春に1歳の三角貝にピース入れを行い、何年かの養殖期間の後、初秋から初春までの間に収穫する。現在は4年半から5年半の養殖が中心であるが、かつては2年半が普通であった。現在大珠の人気が大きく落ち込んでいるので今後は3年半養殖も進むのではないか。
手術は5人一組で行われる。2人がピースを採取、3人がピースを外套膜に挿入する。ピースの挿入位置、入れ方などは真珠の品質を決定する重要な要素の一つである。
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