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淡水真珠の色

中国の三角貝で養殖された真珠の色は、オレンジ系がもっとも多い。バイオレット系、ワイン系がそれに次ぐ。 この三色と白が基本色である。なかにはスノーホワイトと呼べるようなものもあるが天然の純白は非常に少ない。 白と言ってもほとんどの珠は黄色がいくらかかんでいる。

珠全体から見れば、ごく一部ではあるものの、基本色以外に PMカラーグループがある。鳩の首のような青、緑、紫などオーロラ光沢のあるピジョンネックブルーやイエローゴールド、 オレンジゴールドなどのメタリック光沢を持つ珠のグループを弊社ではPMカラーと呼ぶ。

珠の色は、養殖母貝の個体差、挿入ピースを取った貝の個体差、貝の年齢、 貝の体調などの母貝そのものの要因と水質、水温、光線、栄養状態などの生活環境などが色を決める要因として挙げられる。 今のところ色を限定するために母貝の改良、環境の調整などの作業が意図的には行われていない。

現在市場に流通している白系の珠のほとんどが漂白されたものである。 問題は、過度の漂白加工が行われると珠の劣化が著しいことである。 表面の光沢が落ちた珠にワックスでコーティングし、光沢を増強している加工が行われている。 こういった珠は時間が経過すると光沢が無くなりボケ珠になる。淡水真珠はテリがすぐ無くなると言われる原因の一つでもある。 色のはっきりした珠はナチュラル色を生かす方向で選別し、漂白する珠も無理せず丁寧な加工が望まれる。

 

 

 

真珠の色付け

市場に出回っている淡水真珠には染色されるものもある。染色と一見して分かるものが多いが、なかには中途半端なオレンジ色の珠をオレンジに染める。紫系を紫に染める業者もおり、この場合染めかどうかの判定が難しい。真珠業界では染色に関して厳密な取り扱いが行われていない。アコヤ真珠を赤い染料によってピンク色に染めることを調色と呼び、また最近は養殖期間が短い黒蝶真珠を黒染めする、白蝶真珠を人気のあるゴールドに染めるなど、染色が幅広く行われている。また取引の際、業者間の暗黙の了解という形で染色の有無を明確しないことも多い。

染料による染色だけでなく、γ線照射によってブルーグレーに改変したり、真珠層が傷み易い硝酸銀による黒染めがある。その上に黒染料などで染めるなど、複合的な加工をする場合もある。市場に流通しているアコヤ真珠のナチュラル・ブルーといわれる真珠の多くがγ線照射による色の改変といわれる。淡水真珠にも同じ加工がなされることがある。

弊社ではお客様のご依頼で天然の色には存在しないタイプのピンクやブルーに染めることがあるが、バイオレット、オレンジ染めはお薦めしていない。多少の色の幅があっても天然の色をお薦めしている。色の多様性が長所でもあり、短所にもなる。色を揃えるために染色したり、ほかの真珠に似せて染めるなどの加工によって販売が容易にはなる側面があるものの、消費者に対して十分な情報開示をしないのは片手落ちである。

 

 


オレンジ、バイオレット、ホワイト、ワイン系が基本色


メタリック系とオーロラ光沢がPM色グループ


薄い色の珠を丁寧に漂白加工した珠は白が綺麗


バイオレットとオレンジ色, 天然の色を揃えるのは難しい


γ線による改変(左)、硝酸銀加工は真珠層が傷む(右)


弊社工場で染色されたピンクとブルー、天然にはない色