生物が作り出す真珠の品質を物理的に計測することは限界があり、 人間の眼に頼らなければならないのが現状です。一方では加工技術が進歩して加工前と加工後では見違えるような珠になることも多く、 相当なプロが見ても加工された珠の加工の有無と程度をなかなか見抜けないと思います。流通業者は鑑別機関に頼って販売し、 消費者もそれを信じて購入する図式が生まれますが、現在の加工技術は多種多様で、鑑定業者が判別できる部分は非常に限定的です。 また一部の鑑定業者は売り手有利の偏った記述をしているとも聞きます。
  弊社の真珠は下表のような真珠の品質表示を付けることができますが、淡水真珠に限らず市場で取引される真珠のほとんどは 「表記することができない」或いは「表記がはばかれる」状態だと思います。湖水真珠や無核真珠というようなイメージ先行での販売、 或いは価格の安さを強調して販売する手法が主流です。販売者自身がどういう加工を経たものか知らない場合も多いと思います。 弊社は、産地での生珠の集荷から加工、販売のすべてを自社で行っており自己責任の観点から品質表示をすることにしました。
弊社の真珠品質表示は、
I.短期間にテリがなくなるなど信頼がゆらぐ加工処理はしていない
II.染色・漂白などの処理をしている場合は買手の誤解・錯覚を招くような曖昧な業界用語や販売手法はとらずに明確に表示する
ことを保証するものです。

  ご希望があれば、素材、製品とも真珠の真珠品質表示をお付けいたします。無料です。

品質表示の説明

１ 形状
淡水真珠の形状は多種多様です。別表のように分類して販売します。たとえば同じライスと呼ばれる形状を４種類に分け、デザイン性を重視した販売をしています。
 
２ サイズ
ふるいサイズです。ノギスやパールスケールでの測定との間に誤差があります。

３ 等級
弊社独自の品質基準です。

４ 漂白
薬品、加熱などを加えて漂白しているかどうか表示します。色を持つ厚い真珠層で形成される淡水真珠は、 漂白に対してあこや真珠以上のリスクがかかります。かなり無理な漂白によって真珠層に相当なダメージを与えている場合も多いようです。

 ５  染色
淡水真珠のカラーの豊富さを強調しながら、一方で染色した珠を販売する業者も多いようです。 市場では人体に有害と言われる硝酸銀を使用しているものもあります。弊社ではお取引先の依頼で染色することもあります。 誤解のない用語を使います。染料、γ線を使います。弊社は硝酸銀の使用はご遠慮しております。

 ６  コーティング
表面のワックス・コーティングは数ヶ月足らずで劣化します。照りは0.5〜１ランク落ち、小キズが出てくるものもあります。まさかと思う大キズが出ることもあります。 香港の加工業者は定期的にワックスをかけ直していると聞きます。

７ 含浸
最近は高温下でワックスを染み込ませる方法も行われるようです。ベタベタしないので分かりにくいのですが染み込んでいてもワックスは必ず劣化します。

 ８，９ 表面の削り
弊社の研磨は、くるみチップを研磨材に使ってのバレル研磨です（たるの中で研磨材と回す）。 現在の淡水真珠には一部の南洋真珠のようにバフやサンドペーパーで磨いて（表面を削って）傷を隠したり、光沢を高めたりするものも多いようです。 一見テカテカ光りますが、不自然な光沢になります。真珠層の劣化も早いと想像されます。

 １０ 母貝
産地では三角貝と呼ばれ、正確な日本名はヒレイケチョウ貝。日本のイケチョウ貝と同属です。

  淡水真珠について、この他にも弊社には「中国淡水真珠の現状」レポート３編等、参考資料が多数あります。 重複する部分もありますがそれぞれ別の角度、別の時期に書かれていますので同時に見ていただけると一層理解が深まると思います。

「中国淡水真珠の現状」レポート３編
１.「The Current Status of Chinese Freshwater Cultured Pearls」
Gems & Gemology  Summer 2001 Volume �]�]�]�Z(GIA刊) ￥2,800
著者　赤松蔚、李田島讃生、ケネス･スカラット、トーマス･Ｍ･モーゼス

2.「中国淡水真珠の現状」
中央宝研ニュース　No.77, No.78 1997春（中央宝石研究所刊）
著者　李田島讃生　(Li Tajima Zansheng)  原稿の内容を印刷したもの \400

3.「写真で見る中国淡水真珠の現状」 自社製作したものです　2002年版 ￥3,500
著者　李田島讃生　(Li Tajima Zansheng)

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